人類が始めてギャンブルに用いた道具はダイス(サイコロ)だったようです。
ギャンブルはモノを投げて吉凶を占うという行為から派生したため、投げて使う占いの道具がギャンブルに転用されるのは自然な流れだったのでしょう。
世界各地の遺跡から様々な形のダイスが出土しており、それらを用いてゲームに興じる神々を描いた洞窟壁画、器なども多数発見されています。
最初期のダイスは現在のような正六面体ではなく、木の実などを着色して出目をわかるようにした簡単なものでした。
これらと共に、動物の骨を用いたもの、石でできたものなども出土していることから、各地でさまざまな形のダイスが使われていたようです。
アストラガルと呼ばれる、羊や牛の後ろ足のくるぶしの骨(距骨:きょこつ)を用いたいびつな4面のダイスは各地の遺跡、特に地中海沿岸部の壁画や、またエジプトの王の副葬品としても見つかっており、これが現在のダイスの起源とする説もあります。
六面体のダイスは紀元3000年頃のインド、中東地域から出土しており、さらに1の裏が6、2の裏が5、3の裏が4で両面足して7になるものは紀元1400年頃の遺跡からも見つかっています。
古代文明において、”出目”は予測不能で神の意志が宿ると考えられており、王侯貴族は占いにも、そして遊戯にもとにかくダイスを使っていました。
ローマ帝国の歴代の皇帝たちは皆揃ってダイスによるギャンブルに心酔し、第4代皇帝のクラウディウスは攻略法をまとめた書籍を作ったとも言われています。
今日のカジノで人気のクラップス(2つのダイスを用いたギャンブル)も歴史は古く、その原型は12世紀にエルサレム奪還を目指してアラビアへ遠征した十字軍の遊びに遡ります。
彼らがイスラム諸国で興じられていたダイス遊びをヨーロッパへ持ち帰ったことが起源と言われ、イギリスで流行ったのちにアメリカへ持ち込まれ、ルールが整備されて現在の形となりました。
ちなみにこのゲームで特別なアタリ目とされる7と11は、日本でも有名なとあるコンビニの名前の由来です。
アメリカのサウスランド社が世界ではじめてコンビニを設立し、店名をセブン・イレブンとしたのは縁起かつぎとしてクラップスのアタリ目を拝借したと”言われています”。「7時から11時まで営業」というのが”当たり障りのない定説”となっていますが、どちらが本当なのでしょうね。
この例に留まらず、ダイスを用いたギャンブル、ダイスから派生した文化は現在でも日常に溢れています。