今日の世界において、スポーツ賭博が文化として成熟しているのは欧米です。
特にヨーロッパ、その中でもイギリスには数多くのブックメーカー(Bookmaker)と呼ばれる政府公認の賭け屋があり、ます。
ちぢめてブッキー(Bookie)と呼んだり、ターフアカウンタント(Turf accountant)とも呼ばれる彼らの原型は、競馬を対象とした賭け屋として18世紀に誕生しました。
正確には、1795年にイギリスロンドンの北東部、サフォーク州にあるニューマーケット競馬場でハリー・オグデン(Harry Ogden)という人が始めたと記録に残っています。
開業当初は競馬文化にそぐわないという理由で反対の声もあったようですが、まねをする人が増え、50年経った頃には同様の賭けを請け負う業者が200を超えていました。
しかし1845年には競馬を対象としたギャンブルを禁止する法律がイギリス議会を通過します。
これによって粛清が期待されましたが、賭けることは人間の本能的行為。
歴史上、ギャンブルが規制で止められた試しはありません。違法ながらもブックメーカーは運営を続け、最盛期には店舗が15,000以上に増えていました。
結局、1960年には政府発行のライセンスを取得しなければ運営できないとする許認可制へ禁止から大きく方向転換し、今日に至ります。
現在イギリスではLadbrokes(1886年創業)やWilliamHill(1934年創業)といった違法時代からも運営を続ける老舗ブックメーカーが街に店舗を構え、スポーツベッティングの機会を提供しています。
彼らはもちろんライセンスを取得しており、さらにロンドン証券取引所にも上場するような一流の企業へと成長しました。
また、1974年創業のbet365もイギリス発のブックメーカーとしては世界的に有名で、上場こそしていませんが、国内の非上場企業の中では上位10社に入るほど巨大です。かつて競馬場でレースと共に楽しまれた賭けは、いまでは1つの巨大産業へと変貌しています。