ギャンブルは占いから派生したというのが定説で、その起源は人類が文明を築き始めたころにさかのぼります。
当時の占いに使用されていた動物の骨や石、木片などが原始的なダイス(サイコロ)として転用されるようになり、投げて出た面に合わせて結果を決めるといった、簡単なギャンブルが最初に誕生しました。
人類史上初めてギャンブルが行われた地域は定かではありません。しかし、世界中の洞窟壁画、遺跡の出土品、文献などでギャンブルに興じる神々や人々の描写がなされていることから、むしろ各地の文明にて同時多発的に生まれたとも考えられています。
古代エジプトの墳墓からは神々がダイスを振ってギャンブルをしている様子が描かれた陶器が出土し、中国では司馬遷の「司馬記」にギャンブル狂いの諸侯の話が出てきます。
日本では「日本書紀」に天武天皇の賭博に関する話が書かれています。
ギリシャ、そしてその後地中海沿岸を統治するローマ帝国にも同様にギャンブルに関して記された文献が残されており、その数は挙げればキリがありません。
古代インドの叙事詩Mahabharata(マハーバーラタ)にはギャンブルで身を滅ぼした男の物語が記され、同地域の4世紀頃の書物である実利論Arthashastra(アルタ・シャースートラ)にはギャンブルから税を徴収してコントロールすべきといった、現代国家が実践している賭博管理システムについての記述がすでに記されています。
サルが、住み慣れた森を離れて大地へ降り立ちヒトとしての暮らしを始めた。
太刀打ちできない外敵が潜んでいるかもしれない。何が起こるかわからない。
その挑戦を端に今日まで進化を成し遂げたこと自体が”賭け続けた結果”とも言えますから、ヒトの歴史そのものがギャンブル、なのかもしれません。